緑内障(りょくないしょう)の治療、手術と患者さんの体験談

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緑内障とは・・・視神経がいたんで視野が狭くなってくる病気です。いろいろな説がとなえられていますが、「眼圧がその人の神経が耐えられる値よりも高いために、視神経がいたむ」と考えられています。すなわち、眼圧が低い人でも、視神経がそれに耐えられないぐらい弱ければ神経がいたんでくるわけです。

緑内障は初期のうちは目薬で様子を見ます。あえて誤解を恐れずに本音を言わせていただきますと、この段階では、目薬を処方して、視野欠損が進行すれば目薬を追加処方するだけなので、まともな眼科医ならできてあたりまえです。難しいのは、

●手術に踏み切るタイミングをどこにするかの見極め

●良い手術ができるかどうか

であると考えますので、眼外科医を標榜する私としては、気合を入れて判断と手術に臨んでおります。手術医ゆえに、手術の問題も熟知しておりますので、やみくもに手術を勧めたりはしていません。

緑内障は、眼圧が上がることにより、視神経がいたんでくる病気です。しかし、眼圧がものすごく高くても神経がぜんぜんいたまない人もいるし、眼圧が低くてもどんどんいたんでくる人もいるので、その人の神経にとって適切な眼圧に調整することが大切です。

緑内障はいろいろなタイプがあり、正確な診断が大切です。眼科にかかっていても、正確な診断がなされていない場合があります。

目の中には隅角という、眼内の水(房水)の出口に当たるところがあります。

その全部、ないしはほぼ全部が急激に閉じてしまうのが、急性閉塞隅角緑内障です。これは患者さんの割合で言うと非常に少ないですが、なってしまうと、眼圧がすごくあがって、一晩で失明したりします。レーザーないしは水晶体を取ることによって治療します。

隅角の一部が閉塞しているために眼圧があがっているタイプの緑内障(閉塞隅角緑内障)が、慢性閉塞隅角緑内障です。これも、レーザーないしは水晶体を取ることによって治療します。この診断が意外と難しく、狭いだけ(狭隅角)と閉じている(閉塞隅角)を混同しているドクターも見うけられます。狭隅角でも、閉じていなければ開放隅角です。このタイプの緑内障も、割合で言うと非常に少ないです。レーザーで穴を開けましょう、といわれた人は、このタイプの緑内障になりやすい人です

隅角がいつも開いている緑内障(開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障を含む))は、目薬で治療します。ほとんどの患者さんはこのタイプに属します。目薬を1つさして、それでも神経がいためばもう一つさして、それでもいためばもう一つ、というぐあいに増やしていきます。それでもだめなら手術、ということになります。開放隅角緑内障の中で、眼圧がいつも正常(20以下)なものを正常眼圧緑内障、と呼んでいますが、眼圧がいつも正常範囲内かどうかは1日24時間絶え間なく測ってるわけではないのでわかりませんので、開放隅角緑内障の中で、病院で測定する時の眼圧がいつも20以下のものを仮にこう呼んでいるにすぎません。

開放隅角緑内障(正常眼圧緑内障を含む)の手術は大きく分けて2種類、繊維柱帯切開術(トラベクロトミー)と繊維柱帯切除術(トラベクレクトミー)があります。

トラベクロトミーは目の中の水の出口を切開して拡げます。こうすることにより、眼内の水(房水)を出やすくして、眼圧を下げるわけです。これは、比較的早期の緑内障にも施行します。

トラベクレクトミーは目の中から外へのバイパスを作り、水を外に出すわけです。効果が強いですが、外から菌が入りやすくなりますので、進行した症例に施行します。

ところで、トラベクレクトミーは抗がん剤を使用しますが、この副作用で、時間がたってから結膜が薄くなって、破れてしまう場合があります。これは非常にゆゆしき問題で、失明につながることが多くあります。この問題に対する回答は私なりに追及しており、ノウハウと自信を持っています。また、もし破れた場合の手術も経験しておりますので、任せておいてください。

静岡赤十字病院において、多くの患者さんに手術を施行し、患者さん、紹介してくださった先生方に喜んでいただいております。そのノウハウを横浜相鉄ビル眼科医院に持ち込んでおります。



上の写真はトラベクレクトミー手術の術後の写真です。下を向いてもらって、まぶたを上げて、横からとったところです。黒目の上の部分が膨らんでいるのがお分かりいただけますでしょうか。眼の中の水のバイパスを作ってここに池のようにためて、結膜から吸収させることによって眼圧を下げます。池は普段は上のまぶたに隠れて見えない、というわけです。



●緑内障の手術を受けた患者さんの体験談をいただきました。

私が、見え方の異常に気が付いたのは、4年前コンタクトを作る際の視力検査の時でした。左目の検査の時に、じっと見つめていると検査表の一部が真っ黒になりました。瞬きするともとに戻りますが、すぐに墨を流したように黒く染まっていくようでした。すぐ先生に相談しましたが、「気のせいだよ。」と言われただけでした。納得できなかったので、なかば強引に検査をお願いしました。その結果、視野が欠けていることがわかり、緑内障と診断されました。

より詳しい検査を受けたくて、静岡日赤の眼科を受診しました。1ヵ月ごとの検査では、徐々に視野が欠けていく状態にあることがわかり、見えなくなるかもとの思いで、とても焦りました。診察の度に、そんな不安や、自分で調べたことについての疑問をたくさん質問しました。大高先生は、一つ一つ丁寧に答えてくださり、とても助かりました。手術についても私が納得するまで説明してくださり、安心して手術を受けることができました。

手術は眠剤を飲んで、「お任せします」のオーラを発しつつ、ウトウトしてる間に終わりました。麻酔の注射が痛かったらどうしようとか、メスが見えたら顔そむけそうとかいろいろ考えましたが、そんな心配は無用です。患者が心掛けるのは、絶対に動かないことだけです。あとは、お任せするのみです。

術後の入院は、約10日でした。術後4、5日して眼帯を取った時、二重に見えてびっくりしましたが、半日もするともとどおりに見えるようになりました。入院中は、おとなしくしてるだけ。元気がでるようなCDを持っていくといいと思います。

手術を受けてから、3年が経ちました。術後の治療も大高先生にすべてお任せしています。現在経過は良好で、眼圧・視野ともに安定しています。

緑内障に限らず目の病気は、早期発見早期治療が大切だと言われています。見え方が判るのは、自分だけです。少しでもおかしいと思ったら、気のせいだと思わず検査を受けてほしいと思います。目は、生活する上での情報を得るための一番大切な器官です。その治療を任せるのですから、より良い病院や先生を探すことはとても重要です。安心して任せられる大高先生や、静岡日赤のスタッフの皆さんに巡り合えた私は、幸運だったと思います。大高先生は、親身になって話を聞いてくださり、的確な治療方針を決めてくださいます。待時間が少々長くても、待った以上に価値のある治療を受けられると思います。少しでも気になることのある方は、一度相談なさったらいかがでしょうか?

静岡県 K.N  39歳

KNさんとは長い付き合いです。KNさんの目は僕が預かったつもりで気合を入れてやってます。いろいろ厳しい意見もいただき、とっても成長させていただきました。手術はばっちりで、今も眼圧10ぐらいで経過良好でめちゃめちゃうれしいです。これからもずっといっしょにがんばっていきましょう。



mail: otaka@isao.com

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