黄斑円孔(おうはんえんこう)の手術
黄斑円孔の治療も多数手がけてまいりました。お困りの方はご相談ください。横浜相鉄ビル眼科医院でも治療ができるよう、設備を整えております。
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●網膜、すなわち目の奥にある、カメラで言うとフィルムにあたる部分の一番大切な中心部分(黄斑部)が欠損してしまう病気です。なんでよりによってここだけ?といいたくなるぐらいに、中心部分だけがきれいに抜けます。
放置しておくと、視力が0.1とかになり、元に戻らなくなります。
下の左の写真が術前です。網膜中心部に欠損部が丸くうつっているのがわかっていただけますでしょうか。正直、ちょっとわかりづらいですねぇ。すいません。
右が術後4週間です。きれいになっているのですが、正直、これもちょっとわかりませんねぇ。上方の出血は、網膜上の膜をはぐ操作でできました。ないのが一番ですが、これぐらいは許してください、といったところです。
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写真でみるとわかりづらいですが、網膜の断層写真(OCT)で見ると一目瞭然です。
以下が黄斑円孔が成立する時のOCTです。普通はある程度進行してから来院されるのでこのような連続写真をとることはめったにできませんから、たいへん貴重な写真です。
●↓黄斑部と後部硝子体膜の癒着が体質的に強い人は、後部硝子体剥離に伴い、黄斑部の網膜が引っ張られます(硝子体黄斑牽引)。後部硝子体剥離はすべての人の40台から60台ぐらいに起こる自然現象です。
●↓黄斑部が引っぱられて、網膜が一部ひきはがされています。中心部に裂け目が入りました。
●↓網膜の表面が強くなっているためでしょうか、ひきはがされた網膜がすんなり取れちゃわないで、ひきはがされた網膜を通して、後部硝子体膜によって網膜全体が引っぱられています。この過程で、左右の黄斑部網膜に上下のずれが生じて、網膜の断層が完全なものになっちゃっていますね。
●↓網膜の引き剥がしがさらに進んで、それと共に後部硝子体の牽引力が減って、上に引っぱられていた網膜がもとに戻っています。黄斑円孔はより大きくなっています。網膜は左右方向にぴんとはっているので、いったん小さな全層の黄斑円孔ができたら、その穴が勝手に大きくなるのでしょう。この間、全部で2ヶ月ぐらいです。
●↓秋山先生が手術施行。術後1ヶ月のOCTです。後部硝子体膜が除去され、見事に黄斑円孔がふさがっていますね。
以下、網膜硝子体手術を専門でやっている、当院の秋山先生による解説です。難しい部分もありますが、より詳しい情報を探してらっしゃる患者さんの要求に応じてこのような形になっていることをご理解いただければありがたいです。
「黄斑円孔」と診断された患者さんから相談を受けました。いつも患者さんにお話ししている内容をメールでお送りしたところ、よく理解できた喜んでいただけたので、掲載します(HP掲載用に改訂しています。)
1.自然に治るか:
自然に治ることがありますが、極めてまれです。黄斑円孔を生じてから偶発的に「後部硝子体剥離」が起こると、一部の人でまれに自然閉鎖します。(後部硝子体剥離とは、50-60才くらいで多くの人に自然に起こり、飛蚊症の原因となる正常な現象です。)
2.まれにおこる自然治癒を待っていてよいか:
黄斑円孔が閉鎖した後の見え方は、円孔が開いていた期間に反比例します。一般的には、開いてから半年以内に治した方が視力が回復しやすいと考えられています。したがって、もし1年以上待って幸い自然に閉鎖したとしても、視力が充分に改善しない可能性が高くなります。ですから、自然閉鎖を期待して待っていて良いのはせいぜい数ヶ月です。数ヶ月したら、手術をするかどうか決断せねばなりません。手術しないと決断した場合、1年以上たってから気が変わって手術をする、というのは得策ではありませんから、ただ手術が怖いから先延ばしにするのではなく、しないのなら一生しないつもりで決断する必要があります。
3.放置した場合:
現状よりも更に視力が低下してゆがみも強くなる可能性がある一方、これ以上進行しないこともあります。それを予測することはできません。
4.治療方法:
硝子体手術しかありません。手術で「後部硝子体剥離」を人工的に起こしますが、それだけでは普通は閉鎖しない(だから自然閉鎖は稀なのです)と考えられているので、眼球内の水を抜いてガスで眼球内を満たし、ガスの力で円孔周囲の網膜を圧迫して治します。その間の数日から1-2週間はうつ伏せで過ごす必要があり、結構大変ですが、重要です。以上がもともとの黄斑円孔の手術方法ですが、実はこれだけだと半分くらいしか閉鎖しません。そこで、現在は網膜の表面にある内境界膜という組織(網膜の皮のような、透明で薄い膜)を、円孔の回りだけ剥がします。こうすることで円孔周囲の網膜表面が柔らかくなり、9割以上の確率で閉鎖します。
5.閉鎖後の見え方:
閉鎖することと視力が改善することは別です。上に述べたように、期間がたっていると、閉鎖しても視力は改善しません。ただし、視力が改善しなくても、ゆがみが減る場合はあります。円孔が生じてから数ヶ月以内に治った場合は、多くが改善します。矯正視力が1.0まで回復することも珍しくありません。しかし、1.0まで回復した場合であっても、ゆがみが必ず残ります。もちろん、早期に手術をしたにも関わらず視力が改善しない例もあります。その理由として、
○短期間の裂孔でも、予想以上に網膜が大きなダメージを受けていた
○片眼の黄斑円孔は両眼で見ていると自覚しにくいので、本当は本人が思っているより以前から黄斑円孔になっていた
○手術によって網膜へのダメージが生じた(術者がミスをしていなくても、手術では網膜へ直接治療を加えますが、網膜は非常に繊細なために、正しい手術治療をしただけでもダメージを受ける場合があります)
が考えられます。
6.手術は難しいか:
内境界膜はとても薄いために、除去するためには非常に繊細な技術が必要ですが、私はほぼ全症例で問題なく剥ぐことができます。
硝子体手術は眼球の一番奥に操作を加えますので、眼球の手術の中では最も難しいものであり、術中や術後に予期せぬ合併症が起こることがあります。
しかし、私自身は硝子体手術専門の医師として、専門の施設で専門の先生のもとで土日も返上で厳しい訓練を何年も受けてきた後に、現在は下の先生を指導しておりますので、常に適切な対応ができる術者であると自負しております。
以下、大高による補足です。患者さんからの質問を拾い上げてみました。
○入院が必要ですか?
術後は下向きの状態であれば治療効果があり、坐位や立位であれば治療効果がなく、仰向けであれば眼内のガスが目の表面にある眼内水(房水)の出口部分を圧迫して眼圧が上がるなどの悪影響があります。ですから、通常は食事やトイレ以外は1〜2週間ベッドでうつ伏せで過ごしますので、入院されることをお勧めします。当院では患者さんの特別な希望がなければ秋山先生の東京医療センタに紹介しています。紹介状が必要な病院です。当院の秋山先生の外来にいらしていただければ、最も確実である、自分から自分宛の紹介状を書いてもらえます。もちろん他医師の外来にいらしていただいても大丈夫です。
ですが、ご家族の介護があってどうしても家を空けられないなどの事情をお持ちの患者さんも最近は多く見受けられます。以前は手術の機会を逸していたそういう患者さんにも光を与えるために、当院では日帰り手術を可能としております。ご希望の方はご相談下さい。
○うつぶせはしんどそうなんですが、ほんとうにしんどいですか?
私自身は体験したことがないのですが、患者さんはこれがいちばんしんどかったとおっしゃいます。秋山先生レベルの術者ならば手術自体は非常にスムーズに経過し、本来一番苦痛であるはずの手術での苦痛が少ないがゆえの感想なのですが・・・
○うつぶせならば食事やトイレはどうするのですか?
上記の繰り返しになりますが、術後は下向きの状態であれば、眼内に注入したガスの浮力によって網膜が圧迫されて治療効果があり、坐位や立位であれば治療効果がなく、仰向けであればガスが目の表面にある眼内水(房水)の出口部分を圧迫して眼圧が上がるなどの悪影響があります。なので、立位や坐位になることは可能ですので、心配ないです。
○白内障の手術を一緒にやると聞きました。私は白内障はないと思うのですが、ほんとうに必要なのですか?
白内障は白髪のようなもので、個人差はあるものの、ある年齢になれば必ず多かれ少なかれ出てきます。少しでも白内障があれば網膜が非常に見づらくて良い手術がやりにくくなること、ガスが水晶体が触るために術後白内障が急激に進行すること(ガスは水晶体にとっては異物なので、化学変化が起こります)を考慮し、通常白内障手術を同時に施行します。これは患者さんの利益のためとお考え下さい。
○秋山先生は手術が上手ですか?
ほんとうに上手です。術後の患者さんを何人も見ていますから。本当に細かい部分までこだわってやってありますね。
○事情があって入院ができません。なんとかなりませんでしょうか?
黄斑円孔は特に術後のうつ伏せ寝が大切なので、可能なら入院されたほうが良いと考えますが、入院できないので放置してしまうならば、日帰りで手術を受けるほうが良いと考えます。
横浜相鉄ビル眼科医院では、鄭先生が日帰り硝子体手術で黄斑円孔の手術をやっています。鄭先生も秋山先生同様に手術が上手です。
mail: otaka@isao.com
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